1日 出発準備
この日、私は服喪休暇。家で弟と二人。父は出社していた。
携帯で父とやり取りをしながら翌日出発する準備。
母がいないから家事は私がした。
朝食の用意、その後片付け、洗濯、昼食の用意・片付け、買い物、洗濯物を取り込み、夕食の準備・片付け。
弟はまだ夏休みで家にいるが、家事は基本的に全て私がした。
この日しなければいけなかったことは、
・行き帰りの飛行機の予約
・ホテルの予約
・香典袋の購入
・翌日出発する準備
午前中はネットであれこれ探して、結局何も決めなかった覚えがある。ホテルを探していたのだったか。
そうだ。この日の朝は、まだ予定がよくわからなくて、母とやりとりを何度かし、ようやく見通しが立ったのが昼すぎだったのだ。
ホテル探しは楽天やるるぶなど複数のサイトで探していたが、なぜか3日がどこも埋まっていて、空室探しに苦労したのだった。
ようやく見つけた部屋も、なぜか楽天でしかプランが出てこず、楽天を通して予約をしても宿へ連絡中がしばらく続いたため、不安で仕方がなかった。
予約完了後、ホテルに直接電話して確かめたほどだ。
関係ないが、社会人になって電話に対する恐怖心が薄れた。
飛行機は帰りの時間に少しもめた。
父と相談しながら、現地でゆっくりしてから戻るという話でまとまったところで、弟が習い事があることを思い出したのだ。
飛行機の時間を早めることはできるが、習い事は忌引きで休めることも弟に伝えた。
弟は習い事が好きだったので間違いなく飛行機の時間を早めることになると思ったが、弟は十数分姿を消して悩んだ挙句、つらそうな声で習い事を休むと言った。
説教交じりの説得をし、私は父に連絡して早い時間の飛行機をとることにした。
JALのサイトから飛行機の予約をする。
弟にやらせた。
弟は説明文を一切読まず、見えるフォームをとりあえず埋め、すばやくスクロールすると画面一番下のボタンを押す作業だけを繰り返した。
香典袋は文房具屋へ買いに行った。
ずっと小さいころから通っている地元の文房具屋だ。
場所をおじさんに尋ね、父のリクエストであった一番高い香典袋を手に取る。
ペン売り場で薄墨を探し、めったに使わないのに500円するものしか見つからずおろおろしていると、おばあちゃんが普通薄墨両用の210円の筆ペンを薦めてくれた。
そして、レジで「大変ね」と声をかけてくれた。
父帰宅後の夜に荷造りをした。
父は礼服を、私はリクルートスーツを喪服としてそれぞれ持って行く。
弟は制服夏用ということになったが、ジャケットがないことを気にしていた。
また、通夜は自宅で行うとのことで喪服でなく普段着でよいと父が言った。
けれどもちろん、場をわきまえた普段着だ。
私は会社へ行くときの服を選んだ。
弟はデニム以外の長いズボンを持っていなかった。
グレーならまだしもブラックだった。
制服のズボンにTシャツやネルシャツを合わせ、似合わないと首をかしげ、結果わけのわからない組み合わせで譲歩した。
おとなしい私服は必要だ。
今となってはこの日のことをあまり思い出せないが、弟にいらいらさせられたことだけは良く覚えているようだ。